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とぅみ's シネマ

映画の感想文を練習するやつ

★4.5 マリアンヌ

こんにちは。前回から1ヶ月以上経ってしまいましたがぼちぼち映画は見ています。とぅみーろです。これから就活が本格化したら映画が見れなくなるのではと恐れおののいています。

 

さて、今回記事にするのはロバート・ゼメキス監督、ブラッド・ピット主演の『マリアンヌ』です。予告はこちら:

www.youtube.com

 

あらすじ

このお話は第二次世界大戦中、北アフリカのモロッコの首都「カサブランカ」から始まります。2人の男女のスパイが落ち合い、偽装夫婦として工作活動を始めるのです。やがて2人は愛し合い、結婚するのですが、あるとき妻マリアンヌ(=マリオン・コティヤール)に二重スパイの容疑がかけられ、夫マックス(=ブラッド・ピット)は愛と真実の狭間で、もがき苦しんでいきます。

スパイ映画が好きなので、なんとなく軽い気持ちで見ようとしていたのですが、マックスとマリアンヌという2人の関係がじっくり描かれていて見どころいっぱいで、「もう1回見たい!!!」と思わせる内容でした。端的に言ってサイコーです。

 

見どころ

スパイ要素

とはいっても、スパイ映画としてもなかなか面白かったです。

スパイ映画といっても、様々なガジェットが登場するミッション・インポッシブルのようにファンタジー要素(?)の強いものから、ボーン・アイデンティティシリーズのように地味でありながら硬派でリアルなスパイを描くものまで、様々なものがありますが、それで言えばこの映画は後者で、地味だけどリアルなスパイ活動が描かれています。

見ていて思い出したのは、ウォルフガング・ロッツという超有名スパイが書いた『スパイのためのハンドブック』という本です。本物のスパイがスパイワナビーに向けて書いた、まさに“スパイのためのハンドブック”で、尾行のやり方とかが載っていてなかなか興味深い本です。この本が好きな人には、スパイ映画としてもなかなか面白いと思います。

 

テーマは「愛」

スパイ映画としても面白いものの、この映画の主軸に据えられているのはやはり「愛」であります。主人公のマックスは堅物で、感情をほとんど出さず、愛からほど遠い人物です。そんな彼が本気で愛した妻との関係性が、根本的に問われるわけです。

2人の愛が問われる契機であり、この映画の大きなターニング・ポイントとなるのはやはり妻マリアンヌの二重スパイ容疑なのですが、これが発覚するのは中盤〜後半からで、それまでの間にマックスがマリアンヌを愛するようになるまでをじっくりじっくり描いています。

こうして愛の成立までをしっかり描くことで、「自分が愛した妻が本当に自分が知っている妻なのか、それとも見知らぬ顔を持つ女スパイなのか」「妻の愛は偽りなのか」というマックスの心の揺らぎがより一層深いものになっていきます。順調だった序盤〜中盤までがあってこそのクライマックスでした。

にしても、ブラッド・ピット「寂しそうな犬」みたいな表情と、軍人らしい力強い怒りの演技は、対照的でとっても良かったです。

さて、一方で視点を変えれば、この映画は妻マリアンヌの物語でもあります。果たしてマリアンヌは愛ある人間なのか、それとも冷酷な二重スパイなのか。

その答えは最後の最後で分かるのですが、思い返してみれば、序盤のほうでも答えは描かれていたように思います。とある形で、マリアンヌの人柄を印象的に描いていました。気になる方はぜひ注意深く見てみてください。人のコアの部分というのは、ふとしたときに現れるものです。

こんなところでも、味わい深く二度楽しめる映画でした。

 

静けさと音楽

ロバート・ゼメキスの作品は『キャスト・アウェイザ・ウォークを見たことがありますが、どちらもすごく独特な雰囲気があります。音楽に頼ることなく臨場感をもたらすというか。いつの間にか作中に入り込んでしまっているような感覚になります。自分が空気として映画の中に入り込むようなかんじです。

この『マリアンヌ』もそうで、全編通してすごく静かです。静かだけどすごく冴えていて、やはり同様にいつの間にかのめり込んでしまいました。静かなる情熱があって、思わず興奮してしまいます。

一方で華やかなシーンではSing Sing Singなどのジャズが流れ、シャレオツ極まっています。シャレオツさで言えば衣装や小道具の一つ一つも20世紀半ばらしくアンティークなかんじで、とてもかわいくてシャレオツです。このあたりは華麗なるギャッツビーに通じるものがあります。あそこまで豪華絢爛ではないですが。。

 

描写のうまさとキーアイテム

小道具といえばこの作品では「鏡」がキーアイテムとして何度も登場してきます。視線の先を、直接ではなく鏡を介して映すのです。

マックスもマリアンヌもお互いにスパイの身なわけで常に目の前のことを疑いながら生きているわけですが、そんな中で真実を見極めようとしている疑心暗鬼な心を表現しているのかなあなんて思いました。このあたりはもう1回見直したいポイントです。

その他にもすごいな〜〜〜と思わされるシーンが山ほどあってですね。例えば戦いのシーンを描くときに、2人の戦いを直接描いて迫力を出すのではなくて、外で待っている第三者の焦りを描くことで、間接的に緊迫感を描いているのです。結果が分からない分、ドキドキがすごいです。

鏡もそうですが、こういったところもゼメキス監督の特徴なのでしょうか。

 

原題“ALLIED”

というわけで魅力たっぷりの『マリアンヌ』ですが、原題は“ALLIED”でした。allied は「アライアンス(同盟)」と同じ語源で、「同盟した」「同類の」という意味になります。

同じスパイという身、結婚し一つ屋根の下で暮らす身として同類でありながら、2人は本当に同類であると言えるのかどうか。それは映画を見てからのお楽しみです。

 

おわりに

クライマックスは泣けました。割と2017年のトップ10に入るかもしれないぐらい、好きな映画でした。濃厚なドラマを見たい方にはぜひおすすめの作品です。映画館でぜひ!